宮家邦彦のWorld Watch

「欧州の天地は複雑怪奇」今も昔も変わっていないのか

 冒頭にロシアの大統領府国家安全保障局長や国防相などがあいさつ。壇上には中国、インド、ベトナムなどの国防相や軍高官が並び、参加者は総勢500人とも喧伝(けんでん)されたが、要人はアジア・アフリカが多く、欧米の閣僚級参加者は見当たらなかった。やはり英国での毒殺未遂事件が理由なのか。

 それにしても、これは面白そうだと出掛けていった筆者がばかだった。こんな退屈な安保関係国際会議は初めて。2日半で500人の面倒を見た露国防省の努力には敬意を表するが、やはり何か基本的なことが欠けている。

 最も衝撃を受けたのは主催国関係者が「ロシアのシリアでの貢献」「テロ脅威から世界の秩序を守るロシア」を語り、中国国防相が「自由貿易」「保護主義との闘い」に言及していたことだ。一昔前なら耳を疑う発言だが、開会式直前、米大統領は「貿易戦争」や「シリア撤退」に言及していた。これで中露の陳腐なスローガンが逆に現実味を帯びたのだから実に皮肉である。