桂米朝さんが弟子たちに子守りを頼んだ話が面白い。三代目桂米紫(べいし)さんは天保山から神戸まで船に乗った。子供たちには冒険旅行で好評だった。桂枝雀(しじゃく)さんは乳母車を押しながらネタの稽古に夢中で、オムツを濡らしても気づかず、子供は泣き疲れて眠っていた。さて月亭可朝さんは。
▶お菓子でも買って、と預かった100円を手にアルサロへ。午後6時までに入れば、100円でビールと突き出しが出る。1本しか注文しない客は敬遠されるが、幼い子供を連れているのがミソで、ホステスさんたちがかわいがってくれ、お菓子やおもちゃをもらったそうだ。とにかく破天荒だった。
▶カンカン帽とちょびヒゲをトレードマークに「嘆きのボイン」が大ヒットした。2度の参院選で落選し、ストーカー行為で逮捕されたことも。一方で端正な古典落語に定評があり、「住吉駕籠」や「算段の平兵衛」を得意とした。師匠と弟子が顔をそろえて、あちらはにぎやかだろう。