シリア情勢

国連安保理、3つの決議案すべて否決 化学兵器使用疑惑も 米露対立で機能不全

 【ニューヨーク=上塚真由】国連安全保障理事会は10日午後、シリアの首都ダマスカス近郊の反体制派の拠点、東グータ地区で化学兵器が使用された疑いを受け、使用を非難し、加害者を特定する独立調査団を設立する米国作成の決議案を採決したが、ロシアが拒否権を発動し、否決された。

 2011年のシリア内戦以降、欧米主導の決議案にロシアが拒否権を発動するのは12回目。採決では米英仏など12カ国が賛成、ロシアとボリビアが反対、中国が棄権した。これを受け、シリアへの軍事攻撃を排除しないトランプ米政権の出方が注目される。

 一方、ロシア作成の別の調査団設置決議案も採決されたが、採択に必要な9カ国の賛成票が集まらず、否決された。中露など6カ国が賛成し、米英仏など7カ国が反対、2カ国が棄権した。続いて、化学兵器禁止機関(OPCW)の現地調査を「歓迎する」としたロシア作成の決議案が採決され、賛成票が5カ国にとどまり、否決された。

 ロシアの拒否権発動を受け、米国のヘイリー国連大使は、「ロシアがシリアの人々の生活よりも(アサド政権という)怪物を守った日として、歴史に記録される」と非難。ロシアの調査団設置決議案は、ロシアが調査員の選定に関わるので独立した調査にならないと問題点を指摘した。

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