書評

『なぜ中国は民主化したくてもできないのか』石平著

 国家主席の任期制限(2期10年)を廃止してまで、皇帝のごとき絶対権力者の座を手に入れようとする中国の習近平国家主席。長く独裁を続けた毛沢東や改革開放経済の道を開いたトウ小平に比肩する実績も、カリスマ性もない習氏がなぜやすやすと独裁体制を築けたのか?

 著者は、中国民衆の中に「皇帝を求める」エートス(社会通念)や伝統があるからだと断じる。中華思想では、天から命じられた天子(皇帝)は中国だけでなく全世界唯一の統治者。中華秩序を失えば王朝も崩壊するという歴史を民衆は身に染みて知っているのだ。(KADOKAWA・1400円+税)

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