企業にとって行政処分で企業名を公表されると「ブラック企業」との印象が定着し、業績に影響する。鼻息の荒い労基署に対し、企業側は身構えるしかない。
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自民党執行部は3日の党総務会で働き方改革関連法案を了承する段取りを描いていた。ところが、厚生労働省東京労働局の勝田智明局長の失言に関する対応に追われ、関連法案の了承は先送りとなった。
「役人の体質が改めて証明された。(勝田氏は)いろいろ言っているが、労働基準監督署は結局、『上から目線』で企業をいじめる。そういう体質が裏付けられた」
総務会に出席した参院議員は、権限を振りかざすかのような局長の失言に、怒りを隠さなかった。別の議員も、関連法案に盛り込まれている残業時間の上限規制に触れ、「『労基署から中小企業はにらまれる』という懸念があったが、まさに『にらんでいるぞ』という趣旨を局長が言ってしまった」と顔を曇らせる。
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その労基署は、全国に支署を含め325カ所ある。企業に労働法制を守るよう指導する。最前線にいる労働基準監督官は、労働基準法など労働関係法令の違反に対し、取り調べや逮捕など警察並みの強い権限を持っている。労基署を統括するのが都道府県に置かれた労働局で、労基署の元締めといえる。