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機械油独特のにおいが漂う工場。油の染みついた作業服姿の男性社員は、金属製品の切削作業に黙々と取り組んでいた。旋盤機のハンドルを慎重に回して切削位置を調整し、切削するたびに特殊な測定器で誤差がないか寸法に目をこらす-。わずかでも削りすぎれば不良品になる。気を緩められない瞬間の連続だ。
水戸市にある大塚製作所は、日立製作所などの下請け企業として昭和24年に創業した。機械加工を補助する金属材料「治工具」製作を手がける。社員約40人、年商4億円。
「いいだろ、油のにおい」。工場内を見渡す根岸孝雄会長(72)の表情には長年、自身も油まみれになりながらモノづくりの現場を支えてきた自負がのぞく。
得意技術は直径50〜100マイクロメートル程度の、髪の毛よりも細かい超精密加工。発注企業の高い要求をクリアするには「熟練の技」が欠かせない。しかも、技は一朝一夕に習得できるものではない。長年の経験やノウハウに加え、最後は手の感触が仕上がりを左右する。そんな大塚製作所にも働き方改革の波が押し寄せようとしている。