浪速風

「官栄えて国滅ぶ」では…森友、日報でぐらつく国の屋台骨、箍締め直すのは「政」の役割(4月6日)

「隠れたるより見(あら)わるるは莫(な)し」と中国の古典「中庸」にある。秘密はかえって世間に知られやすい。「ない」としていた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報である。昨年2月、当時の稲田朋美防衛相が国会で「確認したが、見つけることはできなかった」と答弁していた。

▶その直後に発見しながら、陸自は1年以上も防衛相や統合幕僚監部などに報告しなかった。隠し通せると思ったか。あいた口がふさがらない。なにやら財務省の森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改竄(かいざん)と似ている。どちらも隠蔽体質を徹底的に解明し、責任の所在と再発防止策を国民に示してもらいたい。

▶「国防」と「最強官庁」という国の屋台骨がぐらついている。「韓非子」には「蟻(あり)の穴から堤も崩れる」とある。国会はまた紛糾するだろうが、森友問題での野党の追及は「安倍(首相)憎し」でピントがずれていた。「官」の箍(たが)を締め直すのは「政」の役割で、与党も野党もあるまい。

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