■30キロまで積載…飛行距離は最長5キロ
小型無人機ドローン製造販売のサイトテック(身延町寺沢)は、重量30キロまで積載可能な大型ドローンを開発し、身延町と支援協定を結んだ。県によると、災害時に大型のドローンで支援物資を運搬するサービスは珍しいという。大規模災害に向けた自治体の機動力強化が求められる中、成長が見込まれる災害分野で需要の拡大を目指す。
サイトテックの秋山恒・技術研究所常務は、「一般にドローンはプロペラ枚数が4〜8枚で積載重量が最大約10キロ。当社の大型機はプロペラ12枚で、最大30キロを積載できます」と話す。飛行時間は最長20分、最高時速は65キロ、飛行距離は最長で約5キロという。
同社は、映像撮影用に小型ドローンも活用。プロペラ4枚でカメラを搭載し、災害現場などの映像をパソコンを通じて、即時に送受信する。昨年8月には、身延町と災害時の支援協定を結び、小型機で災害現場の映像撮影などを行い、新開発の大型機で支援物資を運搬する態勢を確立した。
これらのサービスが評価され、県から先月、「トライアル発注商品」の認定を受けた。県や県の調達方針に準じる市町村がドローンを利用する場合、発注者の判断による随意契約が可能になった。
ドローンの一般向け利用料金は、フライト1回当たり小型機が7万円から、大型機は10万円からという。このほか、利用者に有料で操縦方法の講習も行う。
災害時の自治体支援は、ドローンのパイロットスクールを運営する日本航空学園(甲斐市宇津谷)が昨年10月に甲斐市、先月には韮崎市と、被災現場の撮影で協定を結んでいる。
担当する日本航空教育協会の水野宏一専務理事は「災害大国の日本で災害時の支援はドローンの有望分野。大型ドローンは県内では新聞輸送の実用化に向けて開発・実験している例があるだけ。日本航空学園でも重量が小さい薬品の輸送を今後、検討したい」と話している。