田辺三菱製薬が、勤務の終了から始業までの間に最低でも11時間の休息を取ることを義務づける「勤務間インターバル制度」を導入することが3日、分かった。(安田奈緒美)
国内全社員約4200人対象
対象となるのは国内の全社員約4200人。十分な休息時間を確保できる仕組みとし、ワークライフバランスに配慮する。今年5月から試験運用し、今秋にも本格導入する。
医療費の伸びを抑制するため薬価引き下げなど抜本的な制度改革が進み、製薬企業が収益構造の転換を迫られる中、生産性を高める狙いがある。
勤務間インターバル制度は、すでに本田技研工業やKDDIが導入しているほか、平成30年春闘では日立製作所や関西電力の労使が導入に合意するなど、産業界で広まりつつある。
健康配慮で業務効率向上
一方、田辺三菱は昨年1月、在宅勤務を認める「テレワーク勤務制度」を月5日までの回数制限付きで導入。同年11月には制限を撤廃するなど、働き方改革を進めている。
三津家正之社長は「従業員の健康に配慮することが、業務効率や生産性の向上につながる」と話している。
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【用語解説】勤務間インターバル制度
勤務終了から始業までに一定以上の時間をあけることで、労働者の生活サイクルや睡眠時間を確保する制度。残業した場合に始業時間を繰り下げたり、ある時間以降の残業を禁止したりする。厚生労働省は、導入する中小企業に経費の一部を助成する制度を設けた。欧州連合(EU)加盟国は連続11時間の休息を義務づけている。政府が今国会成立を目指す働き方改革関連法案では、努力義務として盛り込むことも検討されている。