「イルカ追い込み漁」禁止に反発、新たに1施設がJAZA退会、6施設目に 京急油壺マリンパーク、和歌山・太地町との関係重視 

 太地町のイルカの追い込み漁をめぐっては、WAZAが「残酷だ」として27年4月、JAZAに対し、改善しなければ除名すると一方的に通告。JAZAは翌5月に通告受け入れの是非を問う会員投票を実施した。その結果、会員数の多い動物園を中心にWAZAへの残留希望が多数を占め、JAZAは追い込み漁からの入手禁止を決定。施設でのイルカ確保策を繁殖中心に切り替える方針を示していた。

 ただ、地元太地町の町立くじらの博物館が伝統文化に反するなどとしてJAZAの方針に反発。27年9月に退会した。29年3月にも、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)など4施設が相次いで退会している。

「イルカ繁殖は困難」追い込み漁禁止への反発根強く

 世界動物園水族館協会(WAZA)の圧力を受け、日本動物園水族館協会(JAZA)が加盟施設に追い込み漁によるイルカの入手禁止を決定してから約3年。「京急油壺マリンパーク」のJAZA退会の決断は、JAZAが追い込み漁の代替として推し進める繁殖の難しさを改めて露呈した。また、反捕鯨の国際的圧力に防戦を強いられてきた不満も関係者の間には根強く、今後も退会が続く可能性がある。

 JAZAが推進する繁殖の技術は、数年で高められるようなものではなく、技術の蓄積が必要だとされている。また、仮に繁殖に成功したとしても、子供のイルカを育てるには、専用の設備が必要だ。設備がない施設では、目玉のショーを行うプールの使用を中断し環境を整える必要にも迫られるケースも想定される。

 このため、JAZAの追い込み漁によるイルカの入手禁止は、中小規模の施設にとっては「死活問題だ」(関係者)とされてきた。

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