北朝鮮の非核化、米国が主張する「リビア方式」 韓国、否定的な声も

 しかし「米英は査察でIAEAに主導権を取らせなかった。国際機関は強制力が弱いとの判断だった」(島田洋一・福井県立大学教授)。

 特徴的なのは核・ミサイル装備、関連機器を船舶で米テネシー州のオークリッジ国立研究所に運搬して解体したことだ。核兵器の運搬手段であるミサイル、スカッドC(射程700キロ)まですべて米国に運んで解体し、徹底した無力化を行った。さらに、申告以外の疑惑の施設もすべてに査察を要求し、カダフィはこれを受け入れた。

 北朝鮮の核廃棄にもこのリビア方式を採用することを、対北強硬派のジョン・ボルトン元国連大使が提案。同氏が先月22日、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に指名されたことで実現性が高くなった。

 韓国は「段階ごとに米国はリビアに対して制裁解除した。すべてが核廃棄の後ではない」と主張しているが、米国はリビアに対し核とミサイル別々に制裁を掛け、解体が終了した段階でそれぞれの制裁を解除しており、検証途中での解除はない。

 韓国高官からは、リビア方式に否定的な声も出ている。「検証には時間がかかる。(非核化の)包括合意で段階的な履行しか解決方法はない」(文在寅韓国大統領の統一外交安保特別補佐官、文(ムン)正(ジョン)仁(イン)延世大名誉教授)とし、廃棄前でも「韓国と中国が国連安全保障理事会に制裁緩和を要請することもできる」などと主張。北朝鮮が求める「同時並行的な措置」に、理解を示している。(編集委員 久保田るり子)