マレーシアで「フェイクニュース対策法案」可決 野党反発「自由脅かす」

 【シンガポール=吉村英輝】マレーシア連邦議会下院は2日、事実に基づかない情報発信への罰則を強化する「フェイク(偽)ニュース対策法案」を再審議し、賛成多数で可決した。現地メディアによると、賛成123票、反対64票。近く実施が見込まれる総選挙前の法案通過に、野党や市民団体は「言論の自由を脅かす法律だ」と反発している。

 偽ニュースを発信した個人や団体などには、最大50万リンギット(約1400万円)の罰金が科される。当初の法案では10年以下としていた禁錮刑は、厳しすぎるとの批判に配慮し、6年以下に引き下げられた。また、偽ニュースの流布を「故意に」行ったとの定義が、「悪意を持って」に修正された。

 上院で3日に審議にかけられ、会期末の5日までに議会を通過する見通し。国王の承認手続きを経て公布される。

 サレー通信・マルチメディア相は下院での可決後に声明を発表し、「(国外でも)同様の法規制は検討や導入されている」として、シンガポールやフィリピン、ドイツに言及。迫る総選挙が嘘や中傷で妨害されないよう「必要ならば追加対応も辞さない」とした。

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