ロシアの文豪から世界の若者へのメッセージ トルストイ生誕190周年に考える 作家・翻訳家 ふみ子デイヴィス氏

革命で財産没収

 トルストイ思想は日本にも遺産を残した。詩人、人見圓吉(1883〜1974年)が創立した昭和女子大学は「トルストイが建てたような愛の学校を」という緑夫人の建言を実らせて、現在も人見講堂前にはトルストイの銅像が立つ。

 また、京都・山科にある奉仕・修行団体「一燈園」も、トルストイの平和思想を礎として、1904年に日本の宗教家、西田天香(1872〜1968年)が設立した。

 トルストイの末娘アレクサンドラは父の遺志を継ぎ、ヤースナヤー・ポリャーナに学校や診療所を設立して農民に奉仕し続けた。1917年のロシア革命で全ての財産を政府に没収されると、日本の文学者や学者らの支援で日本に渡り、18カ月間暮らした。

 その後、共産国ソ連への帰国を拒否して米国に亡命し、ニューヨーク州郊外で農業を営みながら「トルストイ基金」を設立。作曲家ラフマニノフも連名したこの基金は、ロシアからの数多くの難民のよりどころとなり、今も存続している。

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