ドラマに映画に舞台に活躍する女優、高島礼子さん(53)は、若いときに母と死別し、今、15年にわたって父の介護を続けている。その経験をもとに、終活はいざというときにどうするのか、家族で話し合うことが大切、と訴える。
母との別れに心残り
私は20歳のとき、母をがんで亡くしました。母も若かったので進行が早く、がんだと分かってから半年ぐらいで他界してしまいました。亡くなって間もなくのころは、まったく実感がなくて涙も出てきません。やっと一周忌のときに「本当に死んじゃったんだ」と実感しました。
振り返ってみますと、きちんと「おみおくり」をすることが必要だったのですね。
人が亡くなると、特に最初の1週間くらいは、やらなければならないことがたくさんあります。例えば遺影用の写真ひとつ見つけるのもかなり大変で。私は若かったので、父や親戚が慌ただしく動きまわるのを茫然(ぼうぜん)と見ているだけでしたが、心から気持ちよくお別れするためには、(葬儀にまつわる雑事よりも)もっと大切なことがあったのではないかと思います。
母の命日は5月8日です。ちょうど「母の日」が近いので、そのころになると必ず母のことを思い出します。私は顔立ちが母によく似ているので、鏡を見て母のことを思い出しては、しっかりしなければと思いますね。