東京都が昭和56年5月以前の旧耐震基準で建築された東京都内の大規模なホテルや商業ビルなど計852棟の耐震診断を調べたところ、震度6強以上の地震で倒壊・崩壊の危険性が「高い」建物が156棟に上ることが分かった。危険性が「ある」建物を含めると、3割の251棟で倒壊などのリスクがあり、首都直下地震に向けた課題が浮き彫りになった。
平成25年に施行された改正耐震改修促進法に基づく調査で、対象は体育館や病院、百貨店、ホテルなど不特定多数が利用する大規模な建物と、地震時に緊急車両が通る道路沿いに立地する高層の建物の計852棟。29日、診断結果と建物名を公表した。
都によると、震度6強〜7程度の地震で倒壊・崩壊の危険性が「高い」建物は18%の156棟、危険性が「ある」建物は11%の95棟。「低い」建物は584棟で、改修工事中などの建物が12棟となった。5棟は所有者から報告がないとし、報告を命令した。
紀伊国屋書店の新宿本店が入る紀伊国屋ビルディング(新宿区)は危険性が「高い」と診断された。紀伊国屋ビルディングは昭和39年の完成で著名建築家、故前川国男氏の設計として知られ、「都選定歴史的建造物」にも選ばれている。紀伊国屋書店は「景観を損ねないよう建物内部で耐震補強するよう検討を進めている。できる限り早く行いたい」としている。