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東北地方の山形、宮城の県境に広がる蔵王山(蔵王連峰)。樹木が氷像のような姿で並ぶ美しい樹氷で知られるスキー客にも人気の山だ。アプローチの違いから観光案内や旅行ツアーでは山形蔵王、宮城蔵王と区別されているが、実は山の呼称も「ざおうさん」「ざおうざん」と、それぞれ違った。今回、この2つの読み方に対し、国土地理院から裁定が下された。
「ザオウザン」
山形県では蔵王山を「ざおうさん」と呼んでいる。一方、宮城県では「ざおうざん」と「山」が濁る。
蔵王山の呼称の発端は、昭和6年にさかのぼる。参謀本部陸地測量部(現国土地理院)が、蔵王山の麓の堀田村(現在の山形市、山形県上山市の一部)▽中川村(現上山市)▽宮村(現宮城県蔵王町)▽川崎村(宮城県川崎町)―の4村に照会し、カタカナで「ザオウザン」とルビを振ることに決まったという。
その経緯は、国土地理院が所蔵する「地名調書」に残され、テレビやラジオのニュースなどで蔵王山を取り上げる際には、「ざおうざん」と呼ばれてきた。
だが、蔵王山の麓の山形市立小中学校の校歌では、「ざおうさん」と歌われており、蔵王山近くで育った山形市民にとっては、テレビやラジオで「ざおうざん」と聞くたびに、違和感を覚えたのだった。