リスクの高いデリバティブ(金融派生商品)取引による資産運用の失敗で33億円余りの損害を出したとして、神戸市の学校法人「夙川学院」が、元理事長に約10億円の賠償を求めた訴訟の判決が28日、神戸地裁尼崎支部であった。河田充規裁判長は「各取引を十分に調査、検討すべきだった」として、元理事長に約7億6千万円の支払いを命じた。
河田裁判長は、理事長がデリバティブ取引を始める際、法人の資産運用の内規に反し、理事会に諮っていなかったと指摘。さらに、監査法人や一部の理事から危険性を指摘された後も、十分な検討をしないまま投資を続けたことが「合理的な裁量の範囲を超えている」とした。
判決などによると、元理事長は平成15年に同学院の理事長に就任。16〜20年、証券会社3社とデリバティブ取引を行ったが、リーマンショックの影響などで約33億5600万円の損害を出し、23年に理事長を辞任していた。
夙川学院は「担当者がいないのでコメントできない」としている。