丸川珠代氏の質問が続く。
丸川氏「では、少し質問を変えます。この書き換えの目的についてお話をいただけますでしょうか。誰の指示で行われたか、いつ行われたかは別として、この書き換えは安倍総理や総理夫人の名前を記録から消すために行われたのでしょうか」
佐川宣寿前国税庁長官「大変、申し訳ございませんが、この決裁文書の書き換えの、いわゆる経緯に関わるお話でございます。従いまして、その決裁文書で、誰が指示をしたのか、どのような対応で書き換えが行われたのかということ、そのものが捜査の対象となっているわけでございますので、大変恐縮でございますが、刑事訴追の恐れがございますので、答弁を控えさせていただきたいというふうに思います」
丸川氏「理財局が内部で書き換えを行って、太田理財局長からの答弁から推測するに、非常に大きな関与をされたけれども、佐川さん、今、ここでは証言ができないということでございます。私どもとしては、書き換えがなぜ行われたのかということの解明に資する証言をぜひお願いしたいと思っているところでございますので、ここでもう少し質問を変えまして、書き換え前の文書と、書き換え後の文書、そして佐川さんの答弁を比較することによって、その理解を深めていきたいと思います」
「よく見ておりますと、書き換え前の文書と書き換え後の文書、そして佐川さんの答弁を比べますと、答弁に基づいて修正されたと思われるポイントが3つございます。1つは、森友学園と価格交渉を事前にはしていない、あるいは価格を提示していない。そして2点目は交渉記録、あるいは面会記録は残っていない。そして3点目は、政治家からの働きかけはなかったというものであります」
「まず1点目の、事前の価格交渉、あるいは価格の提示について伺いますが、佐川さんが最初に答弁に立ったのは、昨年の2月15日です。この当初の答弁から、しばらくの間を見ておりますと、当初、まず原理原則にのっとって、事前の価格の提示や、あるいは価格の交渉はないということをお答えになっておられます。まさに、あの予算決算会計令に基づいて処理をした結果、そうなりますということをお答えになっているわけでありますが、実際、書き換え前の決裁文書を見ますと、そのままの答弁ですと、誤解を生じるかもしれないという答弁内容になっていまして。例えば、概算額を伝えるという言葉であったり、度重なる森友学園とのやりとりがこの決裁文書に記載されております。今からご自身の答弁を振り返って、自分の答弁は誤解を与えるものだったと思いますか」
佐川氏「昨年の答弁を自分の記憶で振り返りますと、よくちょっと、少しお時間をいただきますが、よく報道で、価格についてこちらから価格を提示したこともないし、向こうから言われたこともないという報道を私も耳にします。私はその前の今、報道されている部分の前にですね、不動産鑑定にかけて、そういった価格について、申し上げたことはないというふうに答弁をしております」
「それから、それに加えまして、これも何度も答弁をしておるんでございますが、公共随契も含めまして相手方と土地の売却を行うとき、当然先方も含めて、価格がどうなるかっていうのは、高い関心でございますから、そういう話になります。そこは当時もお答え申し上げましたが、路線価とか、公示地価とか、そういうものはオープンになっておりますので、現場においてそういう価格の話をすることはありますが、それは当然、最後は不動産鑑定価格によって決定をしますという答弁を随分させていただいておりますので、そういう意味では、私自身の答弁は、今でもそういう答弁で正しかったというふうに、私は考えております」
丸川氏「ご自身の答弁が間違いないものであったとするならば、なぜ書き換えが行われたと思いますか。書き換えが行われたのは事実であると考えるとおっしゃいましたので、ご自身が考える理由をお示しください」
佐川氏「そこの点、書き換えがなぜ行われたかというのが、実は本当に、先ほどから繰り返して恐縮でございますが、そこの書き換えが行われた経緯、理由そのものでございますので、そこの点につきましては、私が先ほど答弁した私自身の答弁のお答えはできるんでございますけれども、そこの書き換えを行われた決裁文書に関わる事柄につきましては、私自身、刑事訴追の可能性があるということでございますので、その点についてはご理解賜りたい」
丸川氏「佐川さんの答弁、2つ目のポイントに、交渉記録、面会記録は残っていないというのがございます。この点についても財務省の行政文書管理規則に基づいて、例えば面会記録は保存が1年間、1年未満なので、事案の終了時に廃棄するということになっているので、廃棄されていると、原理原則に基づいて答弁をされているわけです。しかしながら、後の予算委員会で、国会議員からの質問でですね、文書管理規則の中には、重要な実績が記録された文書について10年の保存期間がかかっているということを指摘されて、また、その後、さらに佐川さん自身が重要な契約書とか売り払い決議書とか、そういうものについてはきちんと30年保存しておりますと重ねているわけです」
「実はこの答弁をトレースしていくと、決裁文書をきちんと確認していれば、面会記録がなくても、詳細の交渉の過程がわかるということは明白です。にもかかわらず、当初の答弁というのは必ずしもそうなっていない。ここで、佐川さんはいつ、そもそも近畿財務局が保存している決裁文書を確認したのかという疑念がわくのですが、お伺いします。佐川さんが一連の決裁文書、特に近畿財務局に存在する決裁文書一言一句について目を通したのはいつごろのことでしょうか」
佐川氏「まず最初のお話についてお答え申し上げますと、交渉記録に関する答弁を何度もしておりまして、財務省の文書管理規則には表が実はございまして、決裁文書は30年とか、それ他は10年とか書いてありまして、それ以外の規則のところで、交渉記録等につきましては、財務省中の取り扱いとして保存期間1年未満、具体的には事案終了とともに廃棄という規定になっておりますので、そういう取り扱い規定について、国会で申し上げました」
「そういう意味では、財務省の文書管理規則について申し上げてですね、その規定について、申し上げただけだったわけでございますんで、そういう意味では、そういう取り扱い規則について、申し上げたということでは大変、確かに今、思いますれば、国会対応について、丁寧さを欠いていたというのは、もう間違いのないところでございますので、その点につきましては大変申し訳ないというふうに思っております」
「それから後段の方のご質問でございますが、いわゆる決議書、今回書き換えが行われた決裁文書を詳しく、いつ見たのかというご質問でありますが、これも本当に、この問題で捜査の話になると、この決裁文書を私がいつ認識したのかというのは、大きな1つの観点だろうというふうに思いますので、その点につきまして、さらに、まさにその刑事訴追の可能性ということでございますので、ご答弁を控えさせていただきたいというふうに思います」
丸川氏「丁寧さを欠いていたたという証言がございました。太田理財局長も丁寧さを欠いていたのではないかという答弁をされているわけですが、その意味するところが今ひとつよくわかりません。もう少し具体的にお話いただけますか」
佐川氏「はい。交渉記録に関して財務省の文書管理規則が、そういう取り扱いであったということのみを述べていたということでございますので、そういう意味では大変、質問に対する丁寧さを欠いていたということだろうというふうに今、反省をしております」
丸川氏「個別の事案について、きちんと確認をして答弁をしなかったということでしょうか」
佐川氏「そうですね。文書管理規則の規定に基づいて答弁をしていたということでございますので、大変、丁寧さを欠いていたというふうに思います」
丸川氏「その結果、誤解が生じるかもしれないと、決裁文書を後で確認をしたときに思われましたか」
佐川氏「そのときの認識は、ちょっと今すぐ、にわかには思い出せませんが、今振り返れば、大変、誤解を招くようなことであったと思いますので、本当に申し訳ないと思っています」
丸川氏「誤解を招くなと思ったときに、答弁を修正しようとは思いませんでしたか」
佐川氏「今、申し上げました通り、そのときにそう思ったわけではなかったと思うので、今思えば大変丁寧さを欠いていたということでございます」
丸川氏「今思えばということですが、そのとき、答弁を変更することもできたはずです。なぜ、それが文書の書き換えという、あってはならない行為につながったと考えますか」
佐川氏「丁寧さを欠いた理由には、当然、お叱りを受けると思いますが、当時、本当に局内、私も含めて、連日連夜、朝までという日々でございまして、本当に休むこともできないような、月曜日から金曜日まで毎日ご質問いただいている中で、そうした余裕はなかった。お叱りを受けるのは重々承知でございますが、全くそういう余裕がなかったというのが、実態でございまして、申し訳ございません」
丸川氏「現在時点で振り返って、ご自身の答弁を訂正あるいは変更するおつもりはありませんか」
佐川氏「交渉記録がなかったという意味において、現在、そういう交渉記録、例えば決済文書の書き換え前、財務省が提出しました、調査結果においてですね、交渉記録に類するような記述があるわけでございますんで、そういう意味では、大変、本当に丁寧さを欠いたと。ただ当時、そういう個別の都度、都度の交渉記録は、1年未満で配布するという規定だということで答弁を申し上げました。大変申し訳ありません」
丸川氏「なぜ、そのように答弁されたんですか」
佐川氏「繰り返して恐縮ですが、やはり相当、局内も騒然としておりまして、そういう丁寧な対応ができなかったと、お叱りを受けていると思いますが、そういう余裕がなかったということで、大変申し訳なく思ってございます」
丸川氏「大変、残念なことです。森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いの取引そのものに、総理あるいは総理夫人が関わっていたかどうかというのも国民の大きな関心事です。このことについてお伺いします。安倍総理、あるいは総理夫人から、森友学園との国有地の貸し付け、売り払いについて何らかの指示がありましたか」
佐川氏「貸し付け契約、それから売り払い契約が行われた。売り払い契約が実質的に結ばれた28年の6月の半ばということでありますと、私が理財局にはおりませんで、現場で私が対応したわけではないんですが、昨年の国会答弁を通じまして公的取得要望から始まって貸し付け契約、売り払い契約の経緯について勉強もし、局内でもいろいろ聞いて、過去のものも見ていますけれども、そのなかで総理や総理夫人の影響というのがあったというのは、私は全く考えていません」
丸川氏「総理の意向を受けて、官房長官、官房副長官、総理補佐官、あるいは総理秘書官、その他の官邸関係者から指示がありましたか」
佐川氏「今申した通りでございますけど、昨年、私が勉強した範囲でございますけど、そういうものも一切ございませんでした」
丸川氏「それでは明確な指示ではなくても、従わざるを得ない何らかの圧力を理財局が受けて判断を変更したという経緯は確認できましたか」
佐川氏「私が昨年ずっと国会答弁の中で勉強した中では、そういうことはございませんでした」
丸川氏「書き換え前の文書の中に、特例的な内容、特例的な処理、特例承認あるいは本件の特殊性という言葉が出てきます。これらの特例的、あるいは特殊性という言葉が官邸の関与を意味しているのでしょうか、あるいは総理夫人の関与を意味しているんでしょうか」
佐川氏「特例承認につきまして、私、昨年、国会でご答弁をさせていただいてございます。普通、国有財産は売却が中心でございますが、貸し付けをすることもできることになってございまして、通常はやはり売り払いをするためにも3年程度の賃貸貸し付け契約というのが通常ですが、通達上3年と書いてあるんですが、これによらない場合には、本省の特例承認をもらってですね、変えることができるということで、実はこれは定期貸借契約でございますので、法令上10年が最低期間でございました」
「従いまして、この3年では間に合わないんで、本省の特例承認をとるということで、本省で特例承認をしたということでございまして、その特例承認というのは、そういう意味でございますというのを昨年も答弁をしております」
丸川氏「特例、あるいは本件の特殊性という言葉は、官邸の関与あるいは政治の関与を意味しているのではありませんね」
佐川氏「そうではございません」
丸川氏「では、総理夫人が森友学園の名誉校長であることが、貸し付け契約や売買契約に何らかの影響を与えた経緯はありますか」
佐川氏「総理夫人が名誉校長であるという話は、2月の最初の報道で、私も知りました。ただ私、昨年ずっと勉強しておりますが、やはりきちんとこの貸し付け契約、あるいは売却契約ともに、全て不動産鑑定にかけた価格契約をしておりますので、そういう影響はございません」
丸川氏「それならばなぜ、書き換えを行って、安倍総理夫人の名前を削除したんでしょうか」
佐川氏「補佐人の助言を求めてよろしいでしょうか」
(※委員長が許可し、佐川氏が補佐人に助言を求める)
佐川氏「失礼いたしました。書き換え前の決裁文書に関わる話全般につきまして、やはり経緯そのものでございますので、そこは答弁を控えさせていただきたいと思います」
丸川氏「では、改めて伺いますが、この森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いに総理、および総理夫人が関わったことはないと断言できますか」
佐川氏「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させていただいたなかで言えば、総理も総理夫人の影響もありませんでした」
丸川氏「わかりました。最後に佐川さんに伺います。本来、適正に管理されるべく公文書がこのような形で行政自身の手によって書き換えられました。再発防止のために何が必要だと思いますか」
佐川氏「やはり規則、理財局の方で、公文書、いや、例えば国有財産の売り払いについての、そういう行政書類の見直し等を行っているというふうには聞いておりますけれども、やはり、そういうものも大事でございますし、公務員1人1人の強い意識も大事だろうというふうに思ってございます」
丸川氏「ありがとうございました。少なくとも今回の書き換え、そして森友学園に国有地の貸し付け並びに売り払いの取引について、総理、総理夫人、官邸の関与はなかったということは、証言を得られました。ありがとうございました」