ゆうちょ銀行の貯金に設けられた預入限度額への対応で、ゆうちょ銀に毎月数十億円の事務費用が発生していることが26日、関係者への取材で分かった。限度額を超えた利用者に毎月1万件の通知はがきを送るなどの負担があるという。ゆうちょ銀の親会社の日本郵政は限度額撤廃を求め、負担を軽減したい考えだが、限度額撤廃は別の負担増につながる恐れもある。
ゆうちょ銀の通常貯金などの口座には合計1300万円の限度額があり、限度額を超えた入金は自動的に振替口座に移る。関係者によると、この際、ゆうちょ銀には利用者にはがきで通知するなどの事務負担が発生。超過状態が続けば、電話で引き出しなどを要請したり、郵便局員が直接訪問したりすることもあるという。
ゆうちょ銀幹部は「人件費など月に20億〜30億円かかっている可能性もある。法令で限度額を超えてはならないと定められているので対応せざるを得ない」と話す。日本郵政の長門正貢社長は郵政民営化委員会で通常貯金の限度額撤廃を要望。全国の約40万人の郵便局員の事務負担軽減が主な理由とみられる。
ただし限度額が撤廃されれば、預金が増加し、日銀の当座預金に預ける資金が増える可能性がある。日銀は一定額以上の当座預金にマイナス金利を課しており、当座預金の増加はゆうちょ銀にはコスト要因だ。また、限度額撤廃には民間金融機関からの「民業圧迫」批判も強く、ゆうちょ銀は頭を悩ませている。