WOMEN

中小企業がどう人材を確保するか 多様な働き方に人が集まる

 大企業との賃金格差を埋めることは簡単ではないが、時間外労働の削減や休暇の利用促進、職場の人間関係への配慮などの取り組みによって、人材の確保に成功する会社も出てきている。また同省の担当者は「統計的に、女性取締役のいる企業の方が、株式パフォーマンスがよい。リーマンショックからの回復も早かった」と指摘する。

 トーマツイノベーションと東京大学大学総合教育研究センターの中原淳准教授(人材開発論)の共同調査によると、既婚女性や子持ちの女性の柔軟な働き方をサポートする企業では、女性だけでなく男性も「働き続けたい」と答える割合が高かった。

 中原准教授は「男性であっても、介護や病気などいろんな出来事が起こる。多様な働き方ができるところに、人は集まってくる」と強調した。

キーワードは「人材獲得力」

 かつて、20代後半から30代の子育て世代の女性の労働人口は、その前後と比べて急激に落ち込み、「M字カーブ」を描いていた。だが近年、20代後半〜30代の女性労働者が増え、「逆U字カーブ」の形に改善されてきているという。

 「女性活躍推進は、人手不足解消に向けた取り組みの一丁目一番地」と中原淳准教授は強調した。女性が働きやすい職場が増え、日本企業の競争力も増す。そんな未来が現実のものとなる日も遠くないのかもしれない。(加納裕子)

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