書評

『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』君塚直隆著 王が民主主義を保つ逆説

君塚直隆著『立憲君主制の現在』(新潮選書)
君塚直隆著『立憲君主制の現在』(新潮選書)

 本紙連載「王室外交物語」などでおなじみの君塚直隆氏は、英国はじめ各国王家の歴史に通じた、王室研究の第一人者である。氏の紹介する興味深いエピソード、時代の流れを見通す深い洞察に、魅せられた読者も多いだろう。

 その君塚氏が、代替わりを迎える日本への示唆をこめつつ、満を持して書き上げたのが本書である。英国や北欧、ベネルクス諸国、タイなど世界の王室の展開と現在を描き出し、そのうえで皇室の将来を見通した、類書を見ないグローバルな君主制論である。

 個人の平等を原則とするデモクラシーと、一部の血統に特別な地位を認める君主制とは、相性が悪いと考える人は多い。もはや君主制は時代遅れと見る向きもある。

 しかし、ことは単純ではない。著者が明快に示すように、英国や北欧、オランダなど、今も君主制を堅持している欧州諸国には、経済的繁栄を謳歌(おうか)し、福祉が発達した国が多い。先進的なデモクラシーと君主制とは、相いれないどころか、十分両立する存在なのである。なぜだろうか。