主張

自民党改憲案 「自衛隊明記」を評価する

 北朝鮮や中国の脅威は現実のものとなった。国民を守る任務に黙々と当たっている自衛隊員を、国民が後押しすることが、今ほど大切なときはない。

 それには、国民投票によって憲法を改め、自衛隊を明記することがふさわしい。自衛隊員の士気を高め、国民の防衛意思を示すことが抑止力を向上させる。

 理想としては戦力不保持の9条2項を削除し、自衛隊を名実共に世界標準の軍に改めるべきだ。だが、公明党を含め他の政党の安全保障への意識とは乖離(かいり)がある。まず、改革の第一歩として自衛隊明記を実現する意味はある。

 推進本部が挙げた条文案は煩雑で、自衛隊や自衛権の制約を固定化しかねない。これは9条由来の誤った発想といえよう。

 当初案にあった「必要最小限度の実力組織」との表現を取り下げたのは正しい。国民を守る自衛隊の整備や行動を阻害しかねない表現だった。現行案の「必要な自衛の措置」の表現も、範囲をめぐり神学論争を招きかねない。

 自衛隊の規定は、できるだけ簡潔にするのが肝要である。

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