国有地売却の業務は財務省本省から最も遠い仕事といえます。「キャリア」(国家I種試験採用者)ではなく、主に地元採用の「ノンキャリア」(ノンキャリ)が携わります。
私も理財局にいました。理財局は局長と次長の下に国庫課、国債企画課、財政投融資総括課、国有財産企画課、国有財産調整課、国有財産業務課などがあります。国債や財投の部署と異なり、国有財産を扱う部署は最も仕事をする「課長補佐」や「課長」もノンキャリです。地方の財務局も現場レベルは全員ノンキャリです。少し変わった部署です。
森友学園への国有地貸し付けと売却の決裁文書の最終的な責任者は近畿財務局の管財部次長でした。この上の管財部長もノンキャリです。
決裁文書の作り方の文化も、本省と財務局では全く違います。本省では決裁文書1枚に契約書のコピーを添付する程度で経緯は書かない。一方、財務局では自分の作っていた経緯のメモも含めて決裁文書にすることがよくある。財務局は国有地の他に、相続の際のいわゆる「物納」の案件も扱います。いわくつきの物件も多いので、きちんと経緯を残しておく。引き継ぎ資料としても使うこともあります。