主張

米国の貿易制裁 国際秩序を損なう独善だ

 トランプ米大統領が知的財産権侵害を理由として、中国製品に25%の追加関税を課す制裁措置を決めた。

 これとは別に、日本製を含む鉄鋼とアルミニウムに高関税をかける輸入制限も発動された。

 いずれも自国のみの判断で一方的にとった措置である。世界貿易機関(WTO)ルールをないがしろにする保護主義政策といえる。

 大国が貿易相手国を恫喝(どうかつ)する手法は、自由貿易の秩序を崩すもので、貿易戦争を誘発しかねない。堅調な世界経済を暗転させる恐れもある行動は容認できない。

 鉄鋼の輸入制限を含め、米国が主たる標的としているのは中国である。2001年にWTOに加盟した中国は、その恩恵を享受し、巨額の対米黒字を出してきた。

 にもかかわらず、国内産業を保護する自国の不公正な貿易慣行を一向に改めようとしない。米国が根強い不満を持つ理由はある。

 特に知財の侵害は深刻だ。中国は外資企業に対して技術移転を強要するなど、さまざまな手立てで海外の先端技術を不当に入手している。日本、欧州とも懸念を共有している問題だ。

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