竹島を考える

反日演説後、清からの「独立門」前で万歳三唱した文大統領…歴史の無知・捏造はどこまで 

北朝鮮の核実験場廃棄のニュースを映し出す大型ビジョン=21日午後、東京・秋葉原駅前(吉澤良太撮影) 
北朝鮮の核実験場廃棄のニュースを映し出す大型ビジョン=21日午後、東京・秋葉原駅前(吉澤良太撮影) 

日本統治下の1919(大正8)年3月1日、ソウル市内のパコダ公園で「独立宣言文」が読まれたことを機に、大規模な騒擾(そうじょう)が朝鮮各地に広がった。韓国政府はそれを記念し、毎年3月1日を「三・一節」として式典を行なっている。今年のその式典で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は竹島問題に触れ、「独島(竹島の韓国側呼称)は日本の朝鮮半島侵奪の過程で最も先に強制占領された我々の領土で、我々固有の領土」と演説。さらに「今、日本がその事実を否定することは帝国主義の侵略に対する反省を拒否するのと同じこと」と断じた。

文大統領演説は本末転倒のプロパガンダ

この歴史認識は、文大統領の盟友・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が、2006(平成18)年4月に述べた内容と同じである。

この2人の大統領が示した歴史認識は、特段、新しいものではない。1954(昭和29)年に竹島を武力占拠した韓国政府に対し、日本政府が国際司法裁判所への付託を提案した際の韓国政府の声明に由来しているのだ。

それに、竹島を「日本の朝鮮半島侵奪の過程で最も先に強制占領された我々の領土」とする歴史認識は、韓国政府のプロパガンダの一つである。歴史的事実として、韓国側には、竹島の領有権を主張できる権原(法律上正当とする根拠となる原因)はない。文大統領が「日本は人類普遍の良心で歴史の真実と正義を直視しなければならない」とするのは本末転倒である。

「冷静に粘り強く」対応できるか日本側担当相

この文大統領の演説について、日本のマスコミでは、菅義偉官房長官が「竹島の領有権に関するわが国の立場に照らして受け入れられない言動を繰り返しているということは、極めて遺憾」とし、「竹島問題は一朝一夕に解決する問題ではない」が、「冷静に粘り強く対応していきたい」と強調したと報じている。

折しも日本では、健康上の理由で沖縄北方担当相を辞任した江崎鉄麿氏の後を受け継いだ福井照氏が、就任の記者会見で「色丹(しこたん)島」を「シャコタン島」と誤って発言し、物議を醸していた。

俄かに「海洋政策担当」と「領土問題に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整担当」をすることになった福井氏は、「冷静に粘り強く対応して」いくことができるのだろうか。

戦略的に対応してこなかった日本政府

今回、文大統領が演説の中で竹島問題に言及したのは、日本政府が1月25日、東京・日比谷公園内に『領土・主権展示館』を開設したことと無縁ではない。『領土・主権展示館』の開設に最も関心を示したのは、韓国側だからだ。

それに、島根県が開催する「竹島の日」の式典に、日本政府から政務官が6年連続で出席したことも、韓国側には「日本政府が本腰を入れた」と映ったのであろう。

だがその『領土・主権展示館』は、島根県が2007(平成19)年に開設した『竹島資料館』と比べても貧弱で、韓国政府が2012年に開設した『独島体験館』とは比較にならないほど小規模である。しかし重要なことは、『領土・主権展示館』の規模や内容ではなく、日本政府が動き、文大統領を本気にさせたという事実である。

韓国側が竹島問題の存在を認めるのは2005年、日本政府の妨害を押し退け、島根県が「竹島の日」条例を制定してからである。その挑発に最初に乗ったのが、当時の盧大統領である。韓国側は、日本が動けば動く。菅官房長官は「竹島問題は一朝一夕に解決する問題ではない」としたが、それは戦略的に対応していないからである。

島根より外務省に反論の矛先向けた韓国側

外務省は2008年2月、島根県が設置した県竹島問題研究会の報告書を受けて、小冊子『竹島問題を理解する10のポイント』を作成した。

すると、韓国の国策研究機関である「東北アジア歴史財団」が『日本が知らない独島の10の真実』を編纂(へんさん)して反論した。「粘り強く」なくとも、急所をつけば、韓国側は反応するのである。

だが外務省は、韓国側の反論に対して10年以上も反駁(はんばく)していない。そのため韓国側では、竹島研究の争点を、島根県竹島問題研究会の報告書ではなく外務省の『10のポイント』批判に置いている。

外務省と島根県竹島問題研究会と外務省とでは、その主張に微妙なずれがある。外務省の『10のポイント』では、「17世紀半ば(江戸時代)には竹島の領有権を確立しました」とし、「1905年、竹島を島根県に編入して、竹島を領有する意思を再確認しました」としたのである。