「テレワーク」導入で一挙両得…社員は仕事と育児・介護を両立、企業側は通勤費など経費削減 全社員に導入の企業も

生産性アップ 遠隔地に住む優秀な社員の採用にも成功

 シックス・アパートは平成23年の東日本大震災を機に節電のため夏季の水曜日のみテレワークを実施。28年夏からは制度をさらに拡大し、全社員が毎日出社する必要をなくした。

 約30人の社員は、大半が月1〜3日しか出社せず、3分の1ほどの広さのオフィスに引っ越し、賃料や光熱費を大幅に削減したほか社員の通勤手当なども不要に。半年間で約4千万円の経費削減につながった。

 こうした効果に加え「メリハリのある働き方を提供することで仕事の効率や生産性が上がった」(同社の担当者)。仕事と介護などとの両立を目指す社員を後押しでき、遠隔地に住む優秀な社員の採用にも成功したという。

 このようなテレワークの例は全国でも珍しいが、沢さんは「普通の働き方では何かを犠牲にしなければ、母親をサポートできなかった。仕事の量も質も今までと変えず、母親を支えていきたい」と話している。

東京五輪中の渋滞緩和期待

 交通混雑が予想される2020年の東京五輪・パラリンピックへの対策を念頭に、政府はテレワーク導入を呼びかけているが、現状の実施企業は大企業が中心で、人材・設備に余裕が乏しい中小企業での導入は少ないのが現状だ。

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