【正論】「プーチン4・0」に漂う暗闇 北海道大学名誉教授・木村汎(2/4ページ) - 産経ニュース

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正論

「プーチン4・0」に漂う暗闇 北海道大学名誉教授・木村汎

 だが、ロシアの国内総生産(GDP)は世界で第12位以下で米国の10分の1以下。国防費も約10分の1で、軍拡競争でロシアにとうてい勝ち目はない。

 右の演説中でプーチン大統領は、ロシアの有権者たちに向かい「大砲とバター」をともに保障する公約を掲げたものの、ロシア経済にそのような余裕などあるはずはない。ロシア国民は、確かに同大統領がクリミアをロシアへ併合したり、シリア空爆を始めたりしたときには快哉(かいさい)を叫び、愛国心を高揚させた。だが、そのような熱は次第に冷却化しつつある。

 このまま放っておくと、プーチノクラシーもプーチノミクスもジリ貧状態に陥ることは目に見えており、しかもその過程は既に始まっている。この窮状から抜け出すためには、何よりもロシア経済の抜本的な改革が必須なのである。具体的には、エネルギー資源依存癖から製造加工業へと産業構造を転換させることだ。

≪自由を恐れ改革に踏み込まず≫

 その過程をスピーディーに推進するためには、どうしても「他力頼み」が不可欠だろう。即(すなわ)ち、先進資本主義諸国から投資ばかりでなく、科学技術分野でのイノベーションや経営ノウハウを積極的に導入することである。しかしそのためには、先進7カ国(G7)がクリミア併合以来ロシアに科している制裁の解除が前提になる。