中国全人代

GDP「米国超え」に照準 2期目習政権、輸入パワーで発言力強化

 全人代で20日採択された「政府活動報告」に盛り込まれた経済成長率の目標「6・5%前後」か、やや低い成長率でも、2018年は国内総生産(GDP)が名目で13兆ドル(約1383兆円)を超えて、通貨ユーロを導入する欧州19カ国のGDP合計を初めて上回りそうだ。

 その先には強国路線の目標のひとつ、米国超えによる「世界一の経済大国」が視野に入る。「輸入規模で米国を超えると、日本や東南アジアを含む世界の輸出国が、米国より中国を重視するようになる」と上海の経済学者はみている。輸入パワーが国際的な発言力の強さに直結するという。

 他方、構造改革を掲げた李氏の経済政策「リコノミクス」は終焉。19日に副首相に決まった劉鶴・共産党中央財経指導小組弁公室主任に主導権が移るのは確実だ。習近平国家主席に近い劉氏は、米ハーバード大への留学経験があり、米国に知己が多い。

 2期目の習政権は対米通商交渉の布陣を強化する一方、GDPや輸入パワーの「米国超え」に照準を合わせて、党主導の強硬な経済政策を進める。

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