自民党は19日、政府が年末に策定する新たな防衛大綱の基本概念に「多次元横断防衛構想」の実現を掲げるよう提言する方針を決めた。陸海空3自衛隊の一体的な運用の強化に加え、サイバーや宇宙といった新たな防衛分野の対処力向上を打ち出す。複数の関係者が明らかにした。20日の党安全保障調査会の会合で示す防衛大綱の骨子案に明記し、取りまとめを図る。
政府は自民党の提言を踏まえ、新たな防衛大綱を策定する。
多次元横断防衛構想は、現在の防衛大綱の「統合機動防衛力」に代わる基本概念。党国防族の一人は「厳しさを増す安全保障環境に対応するには陸海空3自衛隊の一体運用を深化させると同時に、サイバーや宇宙など新たな分野への対応も不可欠だ」と強調した。
党の防衛大綱骨子案には、専守防衛に特化した「空母」の保有の必要性も明記。最新鋭ステルス戦闘機F35Bを念頭に、短距離の滑走で離陸し、垂直着陸できる戦闘機(STOVL機)の導入も要求する。
新たな防衛戦略「アクティブ・ディフェンス」も打ち出し、弾道ミサイルの発射元をたたく「敵基地反撃能力」の保有も要請する。