鑑賞眼

歌舞伎座「三月大歌舞伎」 孝玉コンビ…時が刻む悪の美学

 夜の部、片岡仁左衛門と坂東玉三郎が2作で共演。悪と善、2人の芸風の持ち味がここぞと弾んだ。

 「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」は四世鶴屋南北作の生世話(きぜわ)、すなわち江戸時代の現代風俗劇で、大店(おおだな)の娘(お染)と丁稚(でっち)(久松)の心中事件から生まれた。以降、お染久松物と呼ばれてあまたの作品が誕生。南北の作品では、お染にふんする俳優が幾役も早替わりするのが人気だが、今回はそのひと役である土手のお六(玉三郎)と亭主の鬼門の喜兵衛(仁左衛門)がつるんで愛嬌(あいきょう)たっぷりに悪巧みの場を披露する「小梅莨(たばこ)屋」と「瓦町油屋」に絞った。