北朝鮮、対韓サイバー攻撃8000回 2月中旬以降 「ほほ笑み外交」の裏で活発諜報

 北朝鮮が支援するハッカー集団が2月上旬から3月中旬までに、8千回以上のサイバー攻撃を韓国の政府機関や大手企業に仕掛けていたことが分かった。感染被害は明らかになっていないが、知的財産や機密情報の窃取を目的とした攻撃であることが判明。北朝鮮が「ほほ笑み外交」を展開する裏で、韓国の動向を不正な手法で探ろうとしていた実態が浮き彫りとなった形だ。(板東和正)

 IT企業でサイバー防衛を研究している元米空軍情報将校(47)が東京都内で産経新聞の取材に応じ、明らかにした。元情報将校は昨年末、米情報機関の関係者らと連携し、サイバー攻撃を24時間態勢で検知できるコンピューターを韓国国内などに複数台設置。不正通信や、攻撃に使用されたマルウエア(悪意あるソフト)などを詳しく分析したところ、北朝鮮が支援する複数のハッカー集団が2月10日から3月15日までに、機密情報などを狙う攻撃を最低でも約8千回仕掛けていたことが判明した。

 情報流出などの被害は明らかになっていないが、韓国の情報機関、国家情報院や大手機械メーカーなどが標的となっていた。

 元情報将校は、米情報セキュリティー会社「ファイア・アイ」が先月20日に発表した、韓国や日本、中東諸国の企業や団体などにサイバー攻撃を仕掛けていた北朝鮮のハッカー集団「APT37(別名Reaper)」などが関与している可能性を指摘。「韓国の機密情報を不正に得て有利な外交を進めようとしている恐れがある」(元情報将校)という。 

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