第33回正論大賞(フジサンケイグループ主催)に輝いた文芸批評家で都留文科大学教授の新保祐司氏の受賞を記念する大阪講演会が15日、大阪市北区のリーガロイヤルホテルで開かれた。新保氏は「明治150年と交声曲『海道東征』」をテーマに講演。約500人の聴衆を前に「『海道東征』は明治以降の近代日本文明を代表する作品であり、明治以降の日本文明を守るということのシンボルである」と意義を訴えた。
新保氏は、明治という時代について「非凡なる凡人の時代であり、西洋を咀嚼して近代文明を作れたのは明治の精神があったからこそ」と説明。
そして、明治維新以来の日本人の精神的活動のピークだった昭和10年代に登場した信時潔作曲の「海道東征」について「明治維新からたった70年で『海道東征』という約50分の大曲を作り、外国人ではなく日本人が演奏した。明治以降の近代日本文明を代表する作品であり、音楽における戦艦大和である」とたたえた。その上で、「将来はウィーンで『海道東征』の演奏会を開きたい」と語った。