「何度も車に放置して大丈夫だったので、危険とは思わなかった」。被告の男は法廷でこう強弁した。当時1歳の男児と3歳の女児を車の中に約10時間半放置して、2児の母親である女とラブホテルへ行き、男児を熱中症で死亡させた上、遺体をクーラーボックスに隠したとして、保護責任者遺棄致死や死体遺棄罪などに問われた無職の男(23)に対する裁判員裁判が大阪地裁であった。男は男児の死後、この女と同居。判決では「(男児を)置き去りにする危険性は認識できた」として有罪を言い渡されたが、法廷での主張などからは身勝手な言い分が明らかになった。
10時間半以上も放置
公判資料によると、事件は平成28年4月23日に発生。男と女(26)=同罪などで起訴=は、同日午前1時45分ごろ、大阪市平野区の屋外駐車場で、まだ当時1歳だった男児と、当時3歳だった長女(5)を放置したまま近くのラブホテルへ向かった。
男と女は約10時間半、ラブホテルで過ごし、同日正午過ぎに車に戻ったが、男児はすでに熱中症で死亡していた。
男児の死亡を確認した2人は、警察や消防に通報することなく、ホームセンターに移動。クーラーボックスを購入し、男児の遺体を防臭剤とともに入れた。
発覚は約7カ月後の同年11月下旬、男児の安否が長期間確認できないため、児童相談所が大阪府警に相談したのがきっかけだった。
府警が同市住吉区内のホテルにいる2人を発見し、男児の居場所を尋ねたところ、近くの駐車場に止めていた車のトランクからクーラーボックスが見つかった。男児の遺体は約7カ月もの間、埋葬されることなく、クーラーボックスに入れられたままだったのだ。