衝撃事件の核心

後絶たない偽造ED治療薬の販売、危険なのになぜニーズあるのか

 ED治療に詳しい昭和大藤が丘病院(横浜市青葉区)の佐々木春明副院長は「国内でのEDに対する羞恥心が原因の一つ」と分析する。

 佐々木氏によると、勃起不全を人に知られたくないと考える患者は多く、医師を含めた他人への相談をためらう傾向があるという。

 海外では、患者自らEDであることをパートナーや周囲に打ち明け、周囲も治療に対して理解を示すことが多いというが、佐々木氏は「日本では、しっかり治療を続ければ治ることを理解していない人も多い。周囲に知られたら『男性として不全』という烙印(らくいん)を押されると不安になり、一人で抱え込んでしまう」と指摘する。

 1人で悩み抜き、最後にすがるもの。それがネット上で匿名で買える偽造品というわけだ。

 こうした羞恥心は服用後にもリスクを及ぼす。偽造品を服用した後に健康被害が出ても、患者がそれを隠して適切な処置につながらない恐れがある。

 国内でも偽造ED薬を飲んで意識障害を起こし、救急搬送された例が複数あり、中には殺鼠剤や麻薬の成分が検出されたケースもある。シンガポールでは、正規品には入っていない血糖降下剤が含まれたシアリスの偽造品で、服用患者が低血糖状態になり、死亡するという悲惨な事故も起きている。

 佐々木氏は「偽造品ではEDが治らず、男性としての自信を喪失したうえ、さらに他の病気にかかるリスクもある。必ず医師にかかり、正規品を使用してほしい」と訴えている。

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