主張

公文書書き換え 国民への重大な裏切りだ 「信なくば立たず」忘れるな

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、財務省が売買の決裁に関するものなど14文書を書き換えていたことを認め、調査結果を国会に報告した。

 安倍晋三政権はこの1年、土地売却や財務省の対応などに問題はないと答えてきた。これを覆す事態である。

 公文書とは、国などの行政機関の活動の基盤となり、歴史の証しともなるものだ。それを正しく取り扱うことは、民主主義の根幹を成す。だからこそ、偽造や変造は刑法上の罪にあたり、重い罰則が設けられている。

 ≪政権の問題ととらえよ≫

 驚くべきことに、国土交通省と会計検査院は、それぞれ財務省による書き換えに感づいていたという。中央省庁が不正を働き、見て見ぬふりをしていた。

 国が根底から揺さぶられているといってよい。書き換えの事実関係を解明し、信頼を取り戻すことに努めるしかない。

 安倍首相は「行政全体の信頼を揺るがせ、行政の長として責任を痛感している。国民に深くおわびする」と語った。信頼回復に向けて「全力を挙げて取り組む」という以上、関係者の国会招致などにも積極的にあたるべきだ。

 麻生太郎副総理兼財務相は謝罪した上で、書き換えの最終的な責任者として、すでに9日に辞任させた佐川宣寿前国税庁長官(当時の理財局長)の名前を挙げた。

 佐川氏は理財局長当時の国会答弁で、学園側との価格交渉は行っておらず、交渉記録は廃棄したと説明した。事実と異なり、その整合性をとるために、文書の方を書き換えたということなのか。

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