「大学生でも中国人の場合、政治の話題を避けることが多く、考え方や教育で日本人との差を感じるんですが、それでも私は同じアジア人として仲良くしたいという気持ちが強い」。初めて中国の土を踏んだという早稲田大4年の土屋英莉さんはこう言って、笑顔をみせた。上海市内のショッピングモールでは、「東京よりもスタイリッシュでセンスある若い人たちの姿に圧倒された」という。
土屋さんは今月初め中国を訪れ、日本を拠点にアジア人どうしの交流を深める組織「We Are Asian(WAA、私たちはアジア人です)」が上海で行った会合に、友人らと参加した。
参加メンバーで、拓殖大大学院博士前期課程1年の鈴木広大さんは、「ITでいえば中国の方が先進国で日本は置いてきぼり」と感じている。別の機会に広東省深センのIT企業を訪問した経験のある鈴木さんは、「研究開発分野で深センは考えていることのスケールもスピードも日本とは大違い」と話した。
土屋さんや鈴木さんの世代が生まれてこのかた、日本の社会は20年以上にわたって、よく言えば成熟、悪く言えば停滞が続いた。経済成長に向けてなおも猛進する中国と中国人のエネルギーに「新鮮な驚き」を感じるのも、無理はない。