満州引き揚げの記憶次代に 伊丹の石井さんら43人の体験記発行

冊子に目を通し、当時を振り返る石井康男さん(左)と荘司幸子さん=伊丹市千僧
冊子に目を通し、当時を振り返る石井康男さん(左)と荘司幸子さん=伊丹市千僧

 終戦後、満州から引き揚げた伊丹市在住の石井康男さん(82)や荘司幸子さん(82)らが、満州を中心とした引き揚げ者43人の経験をまとめた冊子「語り継ぐ!外地引揚げ体験」を発行した。戦争経験者の高齢化が進む中、記憶を次世代へ語り継ごうと作成した。希望者に無料配布する。

 石井さんは医師の父親に連れられて昭和13年、満州北部に移住。現地で終戦を迎え、1年半かけて地元の香川県まで引き揚げた。大学卒業後は大阪市などの高校で国語の教諭として勤務。退職後の平成25年からは日本語の読み書きができない中国残留孤児のため、伊丹市内で日本語教室を開いている。その中で、同様に引き揚げ経験のある荘司さんらと出会った。

 石井さんは「戦争の経験を誰が語り継ぐのか。記憶を伝えなければ」と28年、荘司さんらに声をかけ冊子作りを始めた。満州時代の知人らに連絡を取り、手紙を送ってもらったり、聞き取ったりするなどして原稿を集めていった。10歳まで満州・ハルビンで過ごしたという荘司さんは「引き揚げ者は帰国後も住む場所や食料がなく、苦しい日々が続いた。白い目で見られることもあり、引き揚げの過去を隠して生活する人も多かった。そんな人々のつらい経験を伝えたかった」と話す。

 冊子には、伊丹市を中心に全国各地の引き揚げ者43人の体験談を掲載。満州や朝鮮半島から引き揚げ中の列車で、凍死や飢えで家族や友人を失った経験のほか、現地で開拓と警備を担った「満蒙開拓青少年義勇軍」での生活の様子などがつづられている。

 石井さんは「戦争によってどれだけの人が苦しんだのか知ってほしい」と話している。

 冊子はA4版で100ページ。問い合わせは石井さん(電)090・1221・5453。

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