スゴテク企業

編み目や麺状に自在に加工…700件超の特許など保有する野菜ピーラーメーカー

スプーンがヒット

 平成10年ごろ、柄を動かすと2本の糸が歯間の汚れを容易にかき出すデンタルフロスを開発したのをきっかけに、3連のループ形状で、ソフトで痛くなく、しっかり耳垢をかき出せる耳かきを発売して反響を得た。ただ、同社にとってその後を決定づける最初の大ヒットとなったのは特徴あるスプーンだ。

 耳かき製造メーカーのスプーン工場を見学した際に「深さがあってスープをたっぷりすくえるものが良いスプーン」と聞いた。だが、過去にカツカレーを食べた際の不便さから「柄がまっすぐで浅いスプーンだったら、カツも切りやすいし、カレーも口に運びやすい」と考えた。

 そこで、人間工学に基づいてスプーンのすくう部分の縁が広くて唇にひっかかりにくく、かつ浅いながらもこぼしにくい構造を思い立った。商品は子供の離乳食用に最適などと口コミで広まった。

 ただ、評価が高い製品は模倣されやすいことも事実。高部社長は「開発して、事前に特許申請などをした上で販売することにこだわっている」という。今年2月16日現在で、特許71件、実用新案199件、意匠登録は504件に上る。権利を押さえることで模倣を防ぎ、価格競争に巻き込まれない点でも有効だ。

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