新生黒田日銀始動へ(下)

「日銀のプリンス」って誰?総裁の椅子、財務省から奪還なるか

 昼なお薄暗い国会議事堂で、2人の男性が大量の資料が詰まった段ボール箱を抱え赤じゅうたんを歩く。答弁に立つ大蔵省(現・財務省)幹部の手伝いを命じられた入省間もない若手職員だ。

 一人は後に経済分野で安倍晋三政権のブレーンとなる嘉悦大教授の高橋洋一。もう一人は政府の人事案で日銀副総裁候補となった現・理事の雨宮正佳だった。この頃の雨宮は将来を嘱望され、正副総裁人事に強い影響力を持つ大蔵省に日銀から出向していた。2人は昭和56年の銀行法改正に関わった旧知の仲だ。

 「あいつは日銀のプリンスだから。取り返さないといけないから」。高橋は雨宮の心中をこう推し量る。取り返すものとは、もちろん「総裁の椅子」だ。

 かつて日銀ではプロパー職員と大蔵省OBが総裁・副総裁をたすき掛け人事で務めた。ただ、平成9年の日銀法改正以降は速水優、福井俊彦、白川方明と日銀出身が3代続いた。元財務官である黒田東彦が再任されるなら、その後は当然、日銀プロパーから出さねばならない。そんな空気感が一部であるのは事実だ。

 金融政策の立案を担当する企画局を長年率い、「ミスター日銀」とも呼ばれる雨宮への期待感は大きい。

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