新生黒田日銀始動へ(下)

「日銀のプリンス」って誰?総裁の椅子、財務省から奪還なるか

 73歳と高齢の黒田が次期5年の任期を全うできるのか不安視する声もある。雨宮は10歳も若いだけに、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生は「いざというときに備え切り札を入れてきた」と今回の正副総裁人事案を解説する。

 一方、学者枠でもう一人の副総裁になる早大教授の若田部昌澄は、英語が堪能なリフレ派の論客だ。53歳と雨宮よりさらに10歳若い。国会聴取では「(平成31年度ごろまでに物価上昇率2%目標を達成する)日銀のメインシナリオがどれぐらい遅れるかがポイント」だと語り、金融緩和を手じまいする「出口戦略」とはっきり距離を置いた。

 日銀が年80兆円をめどと掲げる長期国債購入額を90兆円に増やし、デフレから完全に脱却するまで景気回復を一層後押しすべきだというのが若田部の持論だ。今回の起用には、拙速な出口検討を牽制(けんせい)する官邸の思惑が働いたと指摘される。

 「日銀でのキャリアの約半分、20年近くにわたりデフレとの戦いの最前線に身を置いてきた」。こう語る雨宮にとって、デフレ脱却にかける思いは同じだ。

会員限定記事会員サービス詳細