理研が語る

「怠惰な研究者」と働き者コンピューター

 私は社会現象を対象に研究を行っている。ビッグデータから得られた社会活動に関する情報を元に、計算機上で疑似的な社会を再現し、中で起きているメカニズムを理解することを目指している。その際には人間の行動を数式で表現するのであるが、人間の行動はいつも同じ法則できっちり動くわけではないので、さまざまな仮説のもとでシミュレーションを試してみる必要がある。

 面倒くさがりの私は、そのような試行錯誤をできるだけコンピューターにやらせるためのソフトウエアを開発している。コンピューターは人間のように考えることはできないが、面倒なことをいとわずにやってくれる。また、ポスト「京」のような次世代機の登場によって性能も劇的に上がる。単に人間の手間を省くだけではなく、人間が行うのとは全く異なる科学的発見に繋がると期待している。

 遠い将来、自分の代わりに人工知能が研究をして論文を書いてくれたら楽なのになあと妄想しつつ、今はコツコツと研究を行っている。

 村瀬洋介(むらせ・ようすけ) 理研AICS研究員。博士(工学)。平成22年、東京大学工学系研究科博士課程修了。ソフトウェア会社で研究開発に従事したのち、25年より現職。ネットワーク科学、計算社会科学の研究を行っている。趣味はバドミントンとカートレース。