竹島を考える

今年も開かれた「竹島の日」を考え直す集会…日本政府の対応は周回遅れだ 

2014年には、韓国の「独島を知らせる連帯」とともに、松江地裁に対して「竹島の日」の撤廃を求めて行政訴訟を起こし、棄却されると今度は広島高裁の松江支部に上訴している。

独島財団は、こうした「『竹島の日』を考え直す会」の実績を評価したのであろう。2015年には久保井氏と協約を結び、韓国内で「独島資料展示会」を開いている。

尖閣問題にも活動広げた「考え直す会」

一方、「『竹島の日』を考え直す会」の活動は竹島問題に限らず、尖閣問題にも幅を拡げている。

2017年2月11日には「領土ナショナリズムを煽(あお)る『竹島の日』の誤りを糺(ただ)す」とする集会を開催。その際にまとめた「『竹島の日』撤廃と領土教育是正の要請」で、次のように主張した。

「日本が、侵略した中国との尖閣諸島、侵略・植民地化した韓国との竹島。これらの問題は、戦後、国交正常化が停滞した中で領有実態が複雑化し、歴史的検証も外交的努力も不十分」であるとし、そんな状態にもかかわらず、日本政府は「相手国の見解を封殺し、日本政府の見解だけを教科書により注入することは、徒(いたずら)に領土ナショナリズムを煽り、隣国の人々を傷つけ、隣国との友好と国際協調を損なう」と。

しかし、尖閣諸島は1971年以来、中国政府が台湾の一部としてその領有を主張し始めたもので、2010年9月7日の中国漁船による海上保安庁の巡視船衝突事件で大きくクローズアップされたが、歴史的事実として中国の領土であったことはない。台湾が清朝の領土となるのは康煕二十三年(1684年)。その台湾の疆域(きょういき)に尖閣諸島は含まれていない。

昨年2月11日の集会で、久保井氏は「続 外務省見解に基づく領土教育批判と尖閣=釣魚諸島問題」と題して講演しているが、文献も読まずに「尖閣諸島は中国領だ」と思い込んでいるのであろう。これは「侵略・植民地化した韓国との竹島」といった歴史理解についても同様である。

久保井氏はその著書『図説竹島=独島問題の解決』で、日本政府の見解は「外務省担当部署と、『竹島=独島は日本領土』と初めから結論ありきの一面的な学説だけに偏った『島根県竹島問題研究会』のごとき御用研究機関に依拠している」と憤慨している。

だが歴史的事実として、竹島は1905年1月28日の閣議決定によって島根県隠岐島司の所管となった。それ以前の竹島は、「無主の地」であった。韓国政府はその竹島を1952年1月18日、「李承晩ライン」を宣言してその中に含め、1954年から武力占拠している。竹島を侵奪したのは、韓国政府である。

日本包囲する中韓露に北朝鮮も加わる

そこで韓国側としては、侵奪した竹島を死守するための活動を続けている。対外工作で、その先陣を切っているのが「独島財団」である。「独島財団」は昨年末、また新たな動きを見せた。ロシアの「サハリンと千島列島労働移民センター」と共同で国際学術セミナーを開催しているのだ。そこでは宋教授や李教授、崔教授が意見発表をしている。

その趣旨は「日本は第二次大戦に敗れた後、韓国と独島、ロシアと南千島列島(北方領土)、中国と釣魚島(尖閣諸島)をめぐって歴史歪曲とごり押しの主張を拡げ、領土紛争を行っている」というところにある。

さらに「独島財団」は2016年4月、中国の南京大学南海研究協同創新センターと業務提携を結んだ。中韓露では共同戦線を張っている。やがて「統一旗」に独島を描いた北朝鮮も参戦することであろう。

日本ではようやく『学習指導要領』に竹島と尖閣が記載され、今年1月25日には島根県に遅れること10年、「領土・主権展示館」を東京に開設した。その規模と内容は、島根県の「竹島資料室」の十分の一にも満たない。日本政府の竹島政策はまるで周回後れである。

(下條正男・拓殖大教授)

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