主張

金正恩氏との会談 北の「満足」信用できるか

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が韓国特使団と会談した。韓国側は、4月末に板門店で南北首脳会談を行うことで合意したと発表した。

 北朝鮮は、朝鮮半島の非核化問題の協議と米朝関係正常化のための対話を米国と行う用意があるとも表明したという。

 これに先んじて北朝鮮の朝鮮中央通信は、特使団との会談について「満足な合意」に達したと伝えていた。

 だが、にわかには信じがたい。金正恩政権は核戦力に固執し、国際社会の制止を無視して、挑発を繰り返してきた。真意を冷静に見極める必要がある。

 北朝鮮の核戦力は、世界の平和と安全への重大な脅威である。国連安全保障理事会は対北制裁決議を重ね、厳格履行のため、洋上で密輸を取り締まるなど、関係各国が全力を挙げている。

 国際社会が強い圧力で北朝鮮の脅威と相対しているさなか、平昌五輪を契機に、南北の接触が始まった。

 北朝鮮にとっては韓国を取り込むことで核開発の時間を稼ぎ、制裁の包囲網にほころびを作ることができる。韓国の文在寅政権にとっては国内世論に訴えて得点を稼ぐ思惑もあるのだろう。

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