南北会談

北と韓国、首脳会談開催で合意 4月末、板門店で 北朝鮮は「米国とも対話の用意」

  【ソウル=桜井紀雄】韓国の文(ムン)在(ジェ)寅(イン)大統領の特使団として北朝鮮の平壌を6日まで訪れ、金(キム)正(ジョン)恩(ウン)朝鮮労働党委員長と5日に会談した大統領府の鄭(チョン)義(ウィ)溶(ヨン)国家安保室長は6日、帰還後にソウルで記者会見し、南北首脳会談を4月末に南北軍事境界線がある板門店で行うことで合意したと明らかにした。

 鄭氏によると、北朝鮮は、南北対話が続く限り、新たな核・ミサイル実験を行わないとも表明。非核化の意思も示し、南北は、軍事的緊張緩和のための首脳間のホットラインを設置することでも一致したという。北朝鮮は、米朝関係正常化のため、「米国との対話の用意がある」とも表明した。

 鄭氏らは、近く訪米し、トランプ政権に会談結果を説明する。ただ、金正恩政権がどこまで核・ミサイル開発を中止する意思を示したかは依然不明だ。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は6日、金正恩氏と特使団との会談で、南北首脳会談をめぐって「文大統領の意志を伝え聞いて意見交換し、満足のいく合意を得た」と報じていた。金正恩氏は、これに関して担当部門に実務的措置を速やかに取るよう指示した。

 金正恩氏が最高指導者就任以来、韓国政府当局者と会談したのは初めて。報道は、非核化や米朝対話には触れなかった。

 韓国大統領府も6日、会談は、晩(ばん)餐(さん)会と合わせ4時間12分行われたと発表した。鄭氏をトップとする特使団は6日、1泊2日の日程を終え、特別機でソウルに帰還した。

 会談には、平昌五輪に派遣された金正恩氏の妹、金与(ヨ)正(ジョン)氏と金英(ヨン)哲(チョル)党副委員長が同席。晩餐会には、金正恩氏の李(リ)雪(ソル)主(ジュ)夫人も加わった。

 朝鮮中央通信によると、鄭氏が文氏の親書を手渡し、五輪への代表団などの派遣に謝意を伝えたのに対し、金正恩氏は「同族の慶事を共に喜び、助けることは当然だ」と応じ、南北和解や対話の「雰囲気を整える極めて重要な契機となった」と述べた。

 南北関係改善や朝鮮半島の平和と安定を保障する上での問題も「虚心坦(たん)懐(かい)」に話し合ったという。軍事的緊張を緩和し、南北間の多方面な対話や協力、交流を活性化していく問題でも「深みのある意見を交わした」としている。

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