紅い脅威・AI軍事革命

(下)「軍民融合」世界のデータ吸収 日本のAI技術が流出、軍事応用の恐れ

 男性研究員は「技術的に完成には至っていないものの、AIが人体に直接影響を与える『究極の攻撃』が将来、戦場に登場する恐れがある」と警戒する。

 さらに、世界で実戦配備されていないAI兵器「自律型致死兵器システム(LAWS)」の開発は先進諸国で着実に進んでいる。

 世界の軍事問題に詳しい京都産業大の岩本誠吾教授によると、米国が2016年ごろに行った実験で、AIとカメラを搭載した小型無人機が銃のレプリカを携帯する者を兵士、非武装の者を住民と正しく認識することに成功。ロシアでは、銃器メーカー「カラシニコフ社」がAIが目標を定めて銃の射撃までを行うロボットを開発中という。

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 一方、日本の大学や企業のAI技術が、開発者の知らないうちに海外で軍事用途に用いられる可能性も懸念されている。

 日本は、インフラ点検や医療分野などのAI開発が世界でトップクラスといわれる。慶応大の大屋雄裕教授は「論文の発表や海外大学との共同研究の過程などで、日本のAI技術が意図しない形で流出し、軍事に応用される恐れがある」と指摘。「国産AIの悪用を防ぐ対策も徹底させなければならない」と訴える。

 防衛面でのAI導入、AI技術者の育成、技術流出を食い止める対策-。中国がAIの軍事転用を加速させる「紅い脅威」に立ち向かうため、日本が取り組むべき課題は山積している。

 この企画は板東和正、矢板明夫が担当しました。

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