聞きたい。

ライトノベル 作り手の立場から見た出版史 山中智省さん 『「ドラゴンマガジン」創刊物語』

【聞きたい。】ライトノベル 作り手の立場から見た出版史 山中智省さん 『「ドラゴンマガジン」創刊物語』
【聞きたい。】ライトノベル 作り手の立場から見た出版史 山中智省さん 『「ドラゴンマガジン」創刊物語』
その他の写真を見る (1/2枚)

書店で少なからぬ棚を占める一大書籍ジャンルに成長したライトノベル。その興隆期に大きな役割を果たしたのが、昭和63年に創刊され1月に30周年を迎えたKADOKAWA(富士見書房ブランド)の老舗ライトノベル雑誌「ドラゴンマガジン」だ。本書は、同誌についての初の本格的研究書となる。

「ライトノベル発展の流れを追う上で、定点観測できる資料として同誌をはじめとする雑誌に注目するようになった」と語るのは、著者の山中智省・目白大専任講師。ライトノベルはここ10年ほどの間に、アカデミズムの場でも文学研究やサブカルチャー研究などの流れを受け注目されるようになったが、個別作品や文庫レーベルの研究が多く、雑誌はあまり研究対象になってこなかったという。

本書は同誌草創期を軸に、当時の資料や関係者インタビューにより同誌創刊の背景や、今日のライトノベルというジャンルが確立される過程を描く。

研究を通じて見えてきたのは、同誌がアニメや漫画には幼少時から親しんでいるが活字には距離があるメディアミックス世代の中高生を想定し、アニメ誌などを参考にして従来の小説誌とは異なる手法で作品世界やキャラクターを中心に特集を組むビジュアル重視の誌面作りを行い、読者を活字の世界へと引き込んでいった構図だ。

会員限定記事会員サービス詳細