「海行かば」軍歌か鎮魂か 一部市民から指摘…市教委、公演の後援見送り

 千葉県八千代市で3日に開催される民間団体主催の歌のイベントを毎年後援してきた八千代市教委が、今回は後援を見送ることを決め波紋を広げている。イベントの中で歌う予定の「海行かば」をめぐり、一部の市民から「軍歌を歌うイベントの後援は好ましくない」との指摘があったためだ。主催者側は市教委の姿勢を批判し、「そもそも『海行かば』は軍歌ではなく鎮魂歌だ」と反発、法的な対抗策も検討する構えを見せている。

 イベントの名称は「日本の心を歌う集い」。唱歌などに表れる日本の美しい言葉と旋律で、感動を共有しようとするのが目的。平成28年から行われており、今年で3回目となる。

 実行委によると、過去2回はいずれも、八千代市と同市教委が後援に名を連ねていた。昨秋に例年通り後援を申請したが市教委が見送ったため、主催者側が審査請求を行って理由を尋ねたところ、「社会通念上、軍歌とされる『海行かば』が歌われる」「この歌を歌えば戦争賛美、戦死賛美を助長しかねない」といった理由が示されたという。一方、市は今回も後援を決め、対応が分かれた。

 市教委教育総務課の担当者は取材に対し、市民から「軍歌を歌うのは好ましくない」との声が寄せられたことが後援を見送った背景にあると明かし、「『海行かば』は作られた経緯から軍歌だと思っている」「今回も『海行かば』を歌うかどうか主催者に確認したが、期限までにプログラムの提出がなかったため、後援申請を不承認にした」と説明した。

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