地上最大の光学望遠鏡「マゼラン望遠鏡」の建設に立ちはだかる強風 航空宇宙企業「ボーイング」に白羽の矢

厳しい規制下にあると思われる軍用技術でさえ、応用可能性が検討されている。もちろん対象となるのは中核技術そのものではなく、慎重に扱うべき応用技術だ。例えばロッキードは、同時に多数打ち上げられる科学探査用小型人工衛星「キューブサット」に、兵器用照準システムのセンサーを搭載している。

また、12年に発生したハリケーン「サンディー」が北米東海岸に甚大な被害を残したことを受け、ロッキードの技術者たちは軍事用センサー技術を転用し、「ARIES(Automated Rapid Infrastructure Evaluation System=自動高速インフラ評価システム)」を開発した。大災害時のインフラ損害状況を、LiDARと視覚イメージを併用して評価するものだ。

ときには単なる収益を超えた恩恵を受けられることもある。テクノロジーの垣根を超えることは、企業に新たな事業分野や可能性をもたらすが、働くスタッフにも同じことがいえるのだ。ボーイング・リサーチ・アンド・テクノロジーのエンジニアとしてマゼラン望遠鏡プロジェクトに参加したアブディ・コダドゥストは、新しい趣味を見つけた。「15年、わたしはチリの天文台を初めて訪問しました。山頂で過ごした時間は楽しく、それ以来わたしは天文学について少なからず興味をもつようになったのです」

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