■分野を超えたテクノロジーの活用
スキルとテクノロジーは、軍事、科学、そして民生部門という分野を超えてきた長い歴史がある。分野の越境は、利益を受ける顧客だけでなく、企業自身にも恩恵をもたらす。違う分野に挑戦することは、自社の技量に磨きをかけるチャンスでもあるからだ。
天文学者らを支援しているボーイングのR&D部門で上級マネジャーを務めるビル・ノービーは、「もっているツールセットの使い方を変えてみると、ちょうどクロストレーニングのような感じで、筋肉を異なるかたちで鍛えられるのです」と語る。「当社の戦略を普通ではないかたちで用いることで、より深く学び、強さと多様性を身につけられます」。そうした分析的作業は、将来的にはロケットを発射台に設置するボーイングの手法や、米国防総省に提供する地上設置型光学システムの設計にも影響を与える可能性がある。
技術分野の垣根を超えることは、ボーイングとともに米国防総省と契約を結ぶライヴァル企業のロッキード・マーティンにとっても別におかしな話ではない。ロッキードは軍用輸送機「C-130J」のプロペラをベースに、発電用水中タービンを開発した。PHOTOGRAPH COURTESY OF LOCKHEED MARTIN
米国防総省と契約を結ぶボーイングのライヴァル企業はそれぞれ、独自に異分野との交流プログラムをもっている。ロッキード・マーティンの技術者らは、「F-35」戦闘機向けに開発した耐熱性プラスチックを通信衛星の部品に転用した。さらに、軍用輸送機「C-130J」のプロペラをベースにして、発電用水中タービンを開発している。