運転者の視界前方にスピードや進行案内などの情報が浮かんでみえる「ヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)」の搭載車種が高級車から軽自動車まで広がっている。大手自動車各社は「運転中の視線移動を減らせるため安全運転につながる」と評価。車載部品メーカーの間ではHUDの高度化に向けた開発が活発化しており、情報表示機能を競い合う動きが熱を帯びそうだ。
スズキは平成29年12月中旬に発売した新型「スペーシア」に、軽で初めて運転に必要な情報をフロントガラスにカラー表示するデンソー製HUDを搭載した。
HUD機器は運転席の計器盤の裏側に取り付け、内蔵した液晶画面の映像がフロントガラスに投影される。搭載場所の確保や高価格が壁となり、高級車を中心に導入が進められてきたが、部品点数の削減や低価格化などによって軽にも採用されるようになった。
表示内容はスピードや燃費などの基本情報のほか、交差点案内や警告情報。走行中にカメラが進入禁止の道路標識を認識すると、進入禁止マークが映し出される。運転者からは、フロントガラスの前方数メートル先に浮き上がってみえる。
既に高級車向けには、フロントガラスの横60センチ、縦15センチの範囲に必要情報を示すHUDをデンソーが29年秋に開発。表示サイズは世界最大で、トヨタ自動車が同年11月発売した高級車ブランド「レクサス」の新型セダン「LS」に採用した。